u1-1) ホームページ運営の目標設定
WEBサイトの分析・改善をするための最初の一歩は「目標とKPIの設定」「トレンドの理解」「セグメントの理解」を行うことです。まずは目標設定を行ってみましょう。
WEBサイト(ホームページ)の改善ポイントの見つけ方を理解するためには、目標の設定とデータ収集、データ活用は必須であり、改善ポイントを見つけるためには3つのことを確認し、理解しておくことが重要です。
その3つとは「目標とKPIの設定」「トレンドの理解」「セグメントの理解」です。 これらはWEBサイトだけではなく、ビジネス改善のために不可欠な考え方になります。
KPI
KPI(キー パフォーマンス インジケーター)とは、組織や企業の目標達成に向けたプロセスや行動を評価するための指標で、「重要業績評価指標」とも呼ばれます。
目標設定はなぜ必要か
ビジネスやWEBサイト(ホームページ)にとって、データを見る最大の目的は目標を達成するこ
とです。WEBサイトの場合、「多くの人に訪れてほしい」 「資料請求の件数を増やしたい」 「ブランドを多くの人に知ってもらいたい」などが目標になりますが、最終目標はもちろん、「売上アップ」ではないでしょうか。 一般的なビジネスもWEBサイトの運用も全ては企業の売上のために行われます。
WEBサイトを分析して改善するのも、売上アップのためです。
WEBサイトが無かった時代でも企業は売上を上げることができましたが、現在は、これまで見えなかった情報を得ることができるツール(=ホームページ)を手に入れることができるようになりました。これにより、目標達成までの道のりを示す(データ= 「羅針盤」 や 「地図」)を見ながら進むことができるようになったのです。
現在、ビジネス目標をより効率良く達成するためにデータの収集と解析は必須となります。なぜなら、ライバル会社はそれらのツールを利用して、誤った情報や評価を改善しながらまっすぐ前進し、これまで手の届かなかった潜在顧客を見つけたり、顧客のサポートを強化していくからです。時に迷うこともありますが、それは前進のための選択肢であり、顧客へのアプローチを実行するための情報なのです。
まっすぐ進む方向がすなわち目標であり、ビジネスにおいて目的地を決めずに歩き始めることは無駄な労になってしまいます。
進む方向が間違っていないかを確認するために、データを分析して「正しい方向に進んでいるか」「ペースはこれで良いか」などをしっかり把握することで高精度の羅針盤が出来上がるのです。
WEBサイトの運営に失敗する人の傾向として、「気が向いたからこちら…」と、経験や数値の根拠がない判断で走り続け、疲弊する人が挙げられます。
「ターゲットをこちらに向けると契約数は少ないが単価は高い、こちらにした場合は問い合わせ件数は多いが契約に結びつかない」というデータがあれば、根拠のある行動ができるのではないでしょうか。
データがあっても必ずしも最短で目標を達成できるわけではありません。それでもデータに基づいた判断を行えば目標にたどり着く軌道を描くことができ、経験や知識の獲得にもなり、後の判断を正しく行える可能性も上がります。
目標を定めるには
目標がなければ、また分からない場合は、データを見ても意味がありません。データと目標の差異が分からず、改善の判断ができないからです。
よく知られているGoogleアナリティクス等のアクセス解析ツールが示すデータでも現状は分かるでしょう。それでも立ち位置がわかるだけでは進む方向が決まらず何をどう改善するべきかは見えてこないのです。
目標設計の方法
目標を定めるには「3つの必須要素」を想定します。
「1.指標」「2.値」「3.期間」です。
1.指標
「物事を判断したり評価をするための目印」が指標です。
一般的なビジネスの場合は「売上」が分かりやすい例ですが、「アクション」「目的」等も含みます。クラウドファンディングの場合は「寄付金」、行政機関の情報周知であれば「訪問者数」になるでしょう。
WEBサイトの場合は売上だけではなく「オンライン資料請求」「会員獲得」「お問い合わせ数」、ここからの流れの結果としての「契約・申し込み(=売上)」等も指標となります。
2.値
指標に対して「値」を決定することが必要になります。目標(指標)が「売上」であれば、例えば「1億円」「500万円」といったものが値です。指標に対してどれくらい獲得したいのかということですね。
一般的には取締役会や社長などが決定されますが、その売上目標が、部門やサービスごとに分けて決定されることもあります。
全体の売上目標を1億円とした場合、例えばWEBサイト経由のお問い合わせの売上貢献目標を30%とした場合は、目標値は「3,000万円」になります。自身にとっての値を意識しておくことは企業や店舗の社長、管理職の方だけではなく、籍をおく全ての人が意識することが重要です。
3.期間
設定された目標はいつまでに達成するべきでしょうか?「いつか達成できれば良い」ではビジネスは成り立ちません。 来月までに、または年度ごとに、といった期間を設定してください。
一般的にビジネスの目標は1年、四半期、月次などで設定されます。 既に期間が定められている場合は、そちらを目標にしましょう。WEBサイトからのアクションの場合は、長くて1ヶ月、可能であれば週や日単位で目標設定を行います。「粒度(=細かさ)」は運営しているWEBサイトの性質や更新頻度、改善施策実施サイクルで決めます。
例えばサイトを改修できるのが月に数回であれば「月」単位で目標を設定し、毎日改善施作を実施できるのであれば「日」単位で目標を設定します。会社の規模やビジネスの内容にも依存しますが、少しの変更や改修が売上に直結して影響する場合は「日」単位で目標設定し、評価します。
BtoBのサイトでは商材やサービスが日や週単位で変えられず、WEBサイト内の大きな変更やUI、機能などを時間をかけて改修する場合は「月」ごとの目標設定おすすめです。
できる限り短い期間の目標を決定しておく方が、施策を行うスピードが上がり、改善に対する反響の認知と精度が上がりやすくなります。
良い目標設定とは
お伝えした3つの要素「1.指標」「2.値」「3.期間」をすべて備えていることが設定されるべき基本の目標となります。
ここに、取り扱っている商品やサービスによって、季節変動などを考慮することで精度が高くなります。 例えば「2025年1月の売上目標は2,000万円」などは明確で、他との比較もしやすく良い目標と言えます。
逆に、「2024年度の毎月の平均売上は2,000万円」は注意が必要です。サービスや商品の売上が毎月同じような金額で、月や週など固有の変動がない場合は問題ありませんが、特定の季節や月、週によって訪問者と売上が大きく変わる場合は「平均売上」は相応しくありません。売上が変わる季節や月の特徴に対応がしにくいためです。売上が上がる月と下がる月とで平均売上が達成できていれば満足してしまうでしょう。
去年は12月の売上が11月の売上の2倍で、それが「クリスマス需要」と分かっている場合は、今年も売上増が期待できます。その場合は「平均2,000万円」ではなく、11月は2,000万円、12月は4,000万円」と目標をそれぞれの季節に応じて設定します。
季節要因ではなくても集客施策の実施などにより、 売上の増減が予測できる場合もあります。去年夏に流行したファッションが今年もブームになりそうなら、今年の夏も目標値を上げることで比較しやすくなります。
WEBサイト担当者が知っておくべきこと
WEBサイトの運営担当者の中には 「資料請求を増やす」ことが目標と言われている方もいらっしゃると思います。中には売上がオフラインで発生する場合に目標値を知らなくても良いと考える方もいらっしゃいます。資料を公開するタイミングによってはライバルと先に契約まで結ばれてしまうかもしれません。また、資料にも運営にも経費はかかっています。「費用をいくら使えるか」「新製品が出るタイミングはオフラインでの契約率が高まる傾向にある」「 利益率18%は達成しなければならない」等の数値情報を把握しておかないと、最適な資料請求獲得プランを準備できません。
WEBサイト担当者から見て「設定されている数値がおかしい」場合でも、設定されている数値と期間には必ず「意図」や「目的」があるはずです。設定した方にも確認し、その意図や目的に納得した上で改善を進めなければいけません。
目標が設定されていないサイトは、サイトの改善を行う重要性が理解されていないため、優先順位が下がりがちです。目標と現状との差を埋めることが改善の目的であるため、目標は必ず設定、確認をしてください。
オフラインで売上が発生するケースにおいて、WEBサイトの運営が実際の売上とつながっていない場合は、資料請求や会員登録と、契約との間にWEBサイト上でステップを挟み、それをWEBサイトでの最終目標に設定する方法もあります。限られた予算の中での運営となるため、資料請求や会員登録等がどれくらいの売上につながるのか、オンラインの目標からオフラインの売上発生までの割合や平均単価を確認しながら、WEBサイトの価値を算出することも可能となります。
HOME > WEBサイトの分析・改善 > u1-1) ホームページ運営の目標設定